BNFL社不正MOX事件の教訓を生かす為にはベルゴ社についても同様の不正の有無を調べることです

2002年8月19日

落ち度がなければ堂々とデータを出せば良いのに、何故ベルゴニュークリア(ベルゴ)社はデータを隠したのでしょう。

BNFL社は関西電力のMOX燃料製造品質管理過程で、何種類かのデータ不正を行いました。行った不正の中で、ベルゴ社でも可能なものがあります。BNFL社不正事件の教訓を生かす為には、まずはこれらの不正がないことを確認することです。(BNFL社にはなかったような不正をすることも可能です。したがってこれは最低限の確認です。)

しかし実態はどうでしょう。既に製造されたベルゴ社の燃料について、不正があったのか、なかったのかの確認…、この当たり前のことがまだ行われていません。

日本政府・イギリスの原子力施設検査局(NII)・関西電力、そしてBNFL社自らが認めている、ベルゴ社でも可能な不正には以下のものがあります:
■ 品質管理ではペレットの上中下の部分三ヵ所を測ることが、契約上義務づけられています。BNFL社は少なくとも3つのロット(燃料片<ペレット>約3000個で1ロット)でこれを怠り、そのかわりに一カ所の測定数値をあたかも三カ所計ったように、重複して記録しました。つまり都合が良い数値が出れば、それを繰り返し記録したのです。例:P783というロット。

■ ベルゴ社でも同様の不正が可能です。ベルゴ社では、検査員は表示された測定値をペダルを踏んで記録するのですが、一カ所だけ計った後にペダルを三回踏めば、同じ数値を何度も記録することが簡単にできるのです。つまり、ペレットをあちこち動かして都合の良い数値が出た後に、他の箇所を測らず同じ数値を繰り返し記録できるのです。しかし、この不正の可能性については、まだ何も調べられていません。

ベルゴで不正があったかどうか調べるのは簡単:

■ BNFL社ではイギリス政府の原子力施設検査局(NII)が生データを調査しました。BNFL社が公開したペレットの品質管理データの、上中下の測定値を調査することで不正を発見したのです。

■ ベルゴ社でも同様に、ペレット品質管理の上中下の生データ(1ミクロン単位)を記録したフロッピーを出してもらえば、すぐに不正の有無が解明出来るのです。ベルゴ社はこれは、製造ノウハウに関わり、競争相手に知られると困る「企業秘密」であるため公開できないとしていますが、BNFL社以外に「競争相手」はいません。BNFLはすでにこのようなデータを出しています。(福島でのMOX差し止め裁判でも「企業秘密」と認められなかった)。

結論:

隠すことが何も無ければ、何故ベルゴ社はこのような簡単なことを、これだけ頑なに拒むのでしょうか?

何故東京電力はこのデータの公開を一回もベルゴ社に求めていないのでしょうか??

だからこそ昨年3月福島地方裁判所は、こうしたベルゴ社や東京電力を、「充分な対応とはいい難い」として、判決文において厳しく批判したのです。

* * *

(注:ベルゴ社が公表したデータは次のものです。【1】ペレットの上、中、下の区別をせずに、これらを独立の3データとして扱っている。【2】それらを数値でなく、グラフで示している。【3】元の生データとしては1ミクロンキザミで、上、中、下の数値があるのに、わざわざそれを四つ足した数値にしている。)

ベルゴ社の検査方法:
BNFL社との検査方法の違い:

  • 検査員は一人。都合の良い数値が出たときにだけ足踏みスイッチを押して、数値をコンピューターに送ることができます。
  • 1個でも仕様外が出たら、1ロットすべて、(7000個)廃棄措置にしなければならない。(BNFLでは6個の仕様外で抜取のやり直し、4個の仕様外で3000個廃棄)

以上

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