コジェマ社の疑惑──
- フランス政府の認可前にプルトニウムを持ち込んだ
- 事前検査無しにMOX燃料を製造した
フランス政府のプルトニウム持ち込み許可が出る前の設備(ライン)で関電用MOX燃料を製造した疑惑があります。更にそのラインで事前検査なしに東電用MOX燃料が製造されている疑惑もあります。いずれの疑惑に対しても、関電と東電、そして経済産業省はまだ答えていません。
疑惑の背景
2001年12月26日廃止が決定された関西電力のMOX燃料は、フランスのコジェマ社のメロックス工場で製造されていた。この工場は当初、仏電力公社(EDF)用MOX燃料のみを製造していたが、海外顧客用の様々なタイプのMOX燃料を製造するために、新マルチ−ラインが旧施設へ導入され、さらに新施設(MWFB:Melox West Fitting Building)が建設されていた。
フランス原子力施設安全局の2000年レポートによれば(「DSIN2000」)、「設置許可修正デグレ(政令)による新たな枠組みの中で、初めてEDF標準以外の燃料加工が日本の電力会社の要請で開始された」となっている。また、同「DSIN1999」では「[メロックス工場の生産は]当初フランス市場のみを対象にしていたが、外国顧客(ドイツあるいは日本)向けに若干異なる燃料の製造を行うために改築が必要となり、1999年7月30日に認可を受けた」と記載されている。
この新施設(MWFB)は、フランス原子力施設安全局(DSIN)によって、1999年7月30日に許可がおり、また、この施設へのプルトニウム持ち込みの許可は2000年4月18日に出されている。
ところが、関西電力用MOX燃料は、1999年11月3日から製造が開始され、2000年2月22日には燃料棒への封入、燃料集合体の組立が行われている。いったいこの燃料は何処で作られたのか?
疑惑を晴らすことをしない関西電力と国
コジェマ社はフランス原子力施設安全局のプルトニウム持ち込み許可がまだ出されていない施設・設備で関西電力のMOX燃料を加工したのか、既存のEDF用の設備で関西電力の燃料を加工したのか、そのいずれかのどちらかしか考えられない。そこで繰り返しグリーン・アクションと美浜・大飯・高浜原発に反対する市民の会は関西電力と日本政府に説明を要求してきたが、関電も国も答えようとしない。関電にEDF用のラインで作ったのかと聞くと、それには否定的な反応を示した。
関西電力の取締役は2002年度関西電力株主総会(6月)で、「プルトニウムの持ち込みの許可がフランスの当局から出ていた設備で関西電力のMOX燃料が加工されたのか、まだ許可が出ていない施設で加工されたのか?」の質問に対してそれは守秘義務なのでCOMMOX社から答えてはならないといわれていると回答している。一方、国(経済産業省)はこの関西電力の燃料は廃止された燃料である、そもそも施設の中の設備まで政府は関与しないという回答が返ってきている。
関西電力は、「COMMOX社の要求で守秘義務上明らかにできない」(2月26日の市民との交渉)と回答した。しかし、東京電力は、東京電力用のMOX燃料は新施設で製造していることを明らかにしており、上記関電の回答はなんら正当性を有しない。
事前検査なしに東電用MOX燃料を製造している疑惑
コジェマ社の東京電力柏崎刈羽原発と福島原発のMOX燃料を製造(福島I−3号及び柏崎刈羽3号での次期交換用MOX燃料)に付いても疑義がある。
設備のMOX製造能力を調べる事前検査で、コジェマ社はMOX粉末を使わずにウラン粉末を用いた検査しか行っていない。その検査は、プルトニウム持ち込み許可が出る前の新ラインを使って行われている。(ベルゴ社の場合には、MOX粉末を使ってMOXペレットを製造して、設備の性能を調べていた。)ウラン燃料を製造するのではなく、MOX燃料を製造するのだから、事前の検査ではウランではなくMOXを作り検査を行うのが当然です。それを怠ったのはなぜなのか?
国の責任
「フランス政府の許可が出る前に、新施設へ違法にプルトニウムを持ち込みMOX燃料を製造していた」という疑惑がある以上、経産省として、事実を明らかにするのは当然の責務である。
さらに、東電とコジェマ社がMOX燃料を製造する事前検査をウラン燃料のみで行ったことについて国は調査を行うべきである。
以上
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