1999年関西電力不正MOX燃料 事件以降のBNFL社を取り巻く出来事

2000年2月 – 2002年5月

2000年2月18日、英国核施設検査局(UK Nuclear Installations Inspectorate、NII)は、セラフィールドの英国核燃料公社(BNFL)の施設に対し、大変不利な内容の報告書を3本発表した。これらの報告書は、同施設の安全体質の悪さを暴いている。NIIは、民営化への準備としての経費削減のために今までに解雇された中間管理者らの復職をともなう全管理体制の改善が必要だと述べた。

3本のうち最初の報告書は、一般的な安全に関するもので、1999年9月に、それまでに起こった数々の事故に基づき、安全基準が低下していると確信したLaurence Williams 氏(NII局長)が注文したものである。

2本目の報告書は、セラフィールド製の日本向け混合酸化物(MOX)燃料に関するデータねつ造について。

3本目の報告書は、タンクに蓄積している高レベル核廃液について報告。NIIは、これらの廃液が適切に処理されていないことを大変懸念しており、その処理に関してBNFLが重要な進歩を見せなければ、18億ポンド相当のTHORP再処理工場での再処理事業を閉鎖すると述べている。BNFLはタンク内に貯蔵される高レベル廃液を2015年までに緩衝レベル(buffer level)まで削減するよう命じられている。

主要報告書は、BNFL全体の安全体質について大変批判的であった。NIIは、同社の49%を売却しようとする政府が、その準備のために何千もの職をカットしたと同時に、安全性が急降下したと述べている。報告書は、施設内での安全達成基準は一般的に、「かろうじて耐えられる」程度でしかないと述べた。「施設内の多くの場所で安全体質の乏しさ」が見られたと述べている。

MOX試験工場(MDF)

2000年12月19日にNIIは、BNFLがMOX試験工場に関して与えられた全勧告をついに達成したと発表した。しかし、Williams氏は、「MDFの再開の前に、BNFLは、MDF施設と再運転計画の結果を考慮して修正される安全ケースに基づくNIIの承認を得なければならない」と述べた。しかし、この先、MDFが再び商業的MOX製造のために使われることは無く、MDFは、それより大型で、しかし未だに運転を開始していないセラフィールドMOX工場(Sellafield MOX Plant, SMP)のサポートとしてしか使われないことになっている。

チーム検査勧告に関する進歩

BNFLは、NIIが全施設検査に基づいて提出した勧告の全てを実行していない。28勧告中、1年後の段階で、実行されたのはたった3勧告のみだった。

NIIの3報告書以来のBNFL関連ニュース

2000年

2月29日
スウェーデンが、セラフィールドへの使用済核燃料4.8トンの輸送をキャンセル[ENDS Daily 3月1日]
3月2日
BNFL製プルトニウム・ペレットで安全データに不正があったとスイス規制当局(HSK、英国のNIIに相当)が暴露。HSKは既に、Beznau原子炉用に1996年に供給されたMOX燃料棒のいくつかの外装に欠点を発見したことを確認していた。HSKは3月23日にBNFL製MOX燃料の更なる輸入を禁止し、さらに、今後スイスの使用済み燃料をセラフィールドに送ることは無いとも発言。HSKは、これらの禁止が解かれるためには、BNFLが「かなりの改善」を示さなければならないと発言した。[インディペンデント紙3月3日と24日]
3月2日
BNFLのスプリングフィールズ工場からブリティッシュ・エナジー社の原子炉2炉向けに発送予定だった燃料体が、溶接部分のひび割れのため、NIIに押収される。[オブザーバー紙3月5日;フィナンシャル・タイムズ紙3月7日]
3月7日
BNFLが水準以下のMOXペレットを安全として保証したと非難される。[インディペンデント紙3月7日と8日]
3月8日
ドイツが論争の的としているセラフィールドからのMOX燃料輸送を中止。[インディペンデント紙3月8、10日 タイムズ紙3月16日]
3月21日
サセックス大学、科学政策リサーチ・ユニットのエネルギープログラム長、Gordon MacKerron博士が英国下院貿易産業委員会に対し、「商業的論理に欠ける」MOX燃料の世界市場が時と共に衰退することは、およそ必然的であったと述べ、MOXが将来、商業的魅力を持つようになることは考えにくいと主張。[Gordon MacKerron著(2000年3月9日)”BNFL and the proposed PPP: A Memorandum for the House of Commons Trade and Industry Committee”]
3月23日
米国の40以上の環境、反核団体の連合体が、米国政府に対して、BNFL社との(核関連施設の)解体並びに核汚染除去の契約を一時停止し、さらにBNFLが将来米国での業務に関して競合することを阻止するよう請願した。3月27日には、米国エネルギー長官が、アイダホ国立工学研究所に廃棄物焼却炉を建設するBNFLとの契約を一時保留した。[インディペンデント紙3月24、29日;ファイナンシャル・タイムズ紙3月28日]
3月24日
日本の政治家らが、6ヶ月前に搬入された欠陥プルトニウム燃料ペレットが英国に返還されない限り、BNFLとのいかなる事業も拒否する意向を表明。[インディペンデント紙3月25日]
3月26日
2月中に、高レベル廃棄物を取り扱うロボットアームの電気配線が、未知の妨害者によって意図的に切断されていた。この件について英国原子力警察隊によって調査が行われている。BNFLは、その被害は安全上の問題ではないと述べたが、妨害者が次に何をするかわからないという恐怖がある。[サンデー・タイムズ紙3月26日 ガーディアン紙3月27日]
3月27日
アイルランドとデンマークは、次回のOSPAR会議前に、核再処理の終了を呼びかける提案を行うことに合意。OSPARとは、北東大西洋の海洋汚染を取り締まる国際条約である。[ガーディアン紙、フィナンシャル・タイムズ紙、エクスプレス&タイムズ紙3月28日]
3月27日
BNFLのスプリングフィールズ工場が、英国唯一の加圧水型原発サイーズウェルB用の燃料製造契約を失う。ブリティッシュ・エナジー社は、シーメンスと契約を結び、燃料はドイツで製造されることになる。[イースト・アングリア・デイリー・タイムズ紙3月28日]
3月28日
ドイツ政府は、BNFL社が最近行われたドイツ政府役人とBNFL幹部間の会合の結果について虚偽を述べたとしてBNFLを非難した。BNFLは、ドイツは、NIIがMOX製造の再開を許可次第、ドイツへのMOX輸入禁止を解くことに合意している、と述べていた。ドイツ環境相は、「BNFLのプレス・リリースは、同社のねつ造検査結果と同程度の信頼性しか持たない」と述べた。
4月1日
BNFLが六フッ化ウラン(核燃料製造のための原材料)を世界中に輸送するために使用する容器が仏・原子力安全当局の試験で不合格に。仏当局は、この容器は、火災時には、175秒以内に破裂すると発表した。[ガーディアン紙4月1日]
4月1日
OECDの原子力機関が準備したOSPAR委員会への報告書は、最も楽観的な仮定下でも、再処理は貯蔵よりも汚染度が高いと結論。[インディペンデント紙4月1日]
4月2日
セラフィールドの4人の労働者が、入構パスの偽造のため、解雇される。これらの労働者は、車を構内に入れるためにパスを改変、数週間にわたって保安警備員を欺きつづけていた。[サンデー・タイムズ紙4月2日]
4月2日
英・環境局がBNFLを「環境保護への責任欠如…BNFL施設で数々の事件が起こっていることは、BNFLの放射性廃棄物管理能力と、環境保護への責任を同庁に深く疑わせるものだ。」と非難。同局は、BNFLのサマーセット、ヒンクリー・ポイントのプレストン近くのスプリングフィールズ工場、並びにセラフィールドの工場に対し、環境規則違反のため法的措置をとった。
BNFL社について、同局は、「BNFLの経営システム上に深刻な欠点が増えているのは、限られた資力による制限や、同局が発行した廃棄物処理認可に対するスタッフの認識欠如と、環境問題の重要性に関する一般的な認識欠如が原因なのかもしれない」ことを懸念している。問題の1例として、セラフィールドで鳩が引き起こした放射線漏れがあげられたが、これは、鳩がセラフィールド内の汚染建造物に営巣し、この建造物の屋根の穴から毎日出入りして、近郊の村の庭まで愛鳥家に餌をもらいに行っていため、BNFLがこれらの庭を浄化しなければならなかったという事件である。
BNFLは、情報提供に関して「協力的とは思えない態度」をとっていると非難された。「…情報要求に対するBNFLの態度は、環境管理に積極的な組織のとる態度[とは到底いえない]。」[英・環境局ホームページ]
4月2日
スコットランド環境保護局(Scottish Environment Protection Agency 、SEPA)は、BNFLのチャペルクロス工場における事故に関する報告書を会計検察官へ送る。同報告書は、放射性廃棄物を小川に漏出させたことでBNFLが放射性物質法(Radioactive Substances Act)に違反したと主張。[サンデー・ヘラルド紙4月2日、ガーディアン紙4月15日]
4月14日
アイルランドで開催された会議で、マサチューセッツの資源保安研究所(Institute for Resource and Security Studies)のGordon Thompsonは、BNFLが2,100キロのセシウム137を含む1,300リットルの高レベル廃棄物を最終期限の2015年までに処理することは不可能だろうと述べた。専門家は、この高レベル廃棄物を収納する21基のスチールタンクは、偶発汚染によって爆発しやすいと考えている。[インディペンデント紙4月14日]
4月17日
BNFLの中間経営陣大一掃の一環として、セラフィールド工場で少なくとも監督45人が解雇される予定。[インディペンデント紙4月17日]
4月27日
ニューヨーク・タイムズ紙が、ワシントン州の貯蔵タンクから漏れている放射性廃液の固体化に関する米エネルギー省のBNFL雇用計画が頓挫、と報じる。エネルギー長官は、同社の見積額の増加は許容範囲外だったと述べた。5月10日に米国はBNFLとの汚染除去契約をキャンセルした。
5月11日
BNFLの最大の顧客であるブリティッシュ・エナジー社が、カンブリアにあるセラフィールド工場との契約額を26億ポンド減額するよう要求した。ブリティッシュ・エナジー社の財務部長、Michael Kirwanは、「我々に言わせれば、再処理は経済的にナンセンスであり、即刻中止すべき」と発言。[インディペンデント紙]
6月3日
BNFLは4万ポンドの罰金を受けていたが、セラフィールド工場における、過去10年間で6回目の健康と安全に関する違反に関して、更に3万4千ポンドの支払いを命じられた。去年同工場で起こった酸噴出事件について、同社が4年前に約束していた新しい安全手続きの導入を行わなかったことがその一因となっていたことが法廷で明らかになった。この失態は、1999年3月に、1,500ガロンの圧縮硝酸が噴出し、作業員2人が軽症、消防士1人が有毒な煙吸引による被害を受けるという事故が起きるまで、表に出ていなかった。[インディペンデント紙、タイムズ紙]
6月20日
BNFLセラフィールド工場の労働者1人が高放射性の燃料ペレットに異物を加え、核燃料棒製造の妨害行為を試みた。同社は、2000年初旬に明るみに出たこの妨害工作は、安全に関するデータねつ造に関する捜査から注意をそらすために行われたと考えている。しかし、投げ込まれた異物(螺子と床材の2破片)は原子炉内における燃料の安全な作動を損ねたかもしれず、この妨害行為はデータねつ造よりも危険だった可能性がある。これらの異物は、燃料ペレットと並ぶ中空のステンレス・スチール管に溶接されていた。[インディペンデント紙]
6月21日
世論調査により、英国の成人10人中、9人近くが、BNFLのセラフィールド工場からの再処理放射性廃棄物の大気と海洋への放出は止められるべき、と考えていることが判明。[ガーディアン紙]
6月22日
英国政府は昨日、2年前に副首相がセラフィールド核施設からアイリッシュ海への放射性廃棄物放出を止めると約束したにも関わらず、20年後の時点でもまだ、セラフィールド核施設はかなりの量の放射性廃棄物をアイリッシュ海へ放出しているだろうと述べた。[インディペンデント紙]
7月12日
関西電力が昨年(1999年)秋に受け取ったMOX燃料が、その安全に関するデータねつ造が発覚したため英国に返還されることに。混合酸化物(MOX)核燃料の100トンキャスク2基の返還準備には2-3年かかるだろう。[インディペンデント紙]
7月14日
セラフィールド工場内の「管理区域」内で6月20日に、射撃用の標的と使用後のプラスチック弾丸が発見された。イギリスで最も厳重なレベルの警備装置をくぐりぬけて、銃が施設内に持ち込まれ、その後外へ持ち出されていたのである。2人の電気技師が、夜間勤務中に、工場の仕事場で銃を修理した後の長時間、銃の「試し撃ち」をして過ごし、その後、銃を家に持って帰っていたのだ。[ガーディアン紙]
8月4日
これ以前に、いわゆる「疑いある」安全データがあると発表された1996・97年にスイスに納入されたBNFL製MOX燃料集合体の中に、スイスの電気会社NOKが、新たに4つの破損MOX燃料体を発見。この集合体バッチについては1997-98年の間(3月2日分のニュースを参照)に3欠陥が発見されたため、12集合体の全てが検査に送られていた。1999年には、これら12集合体の全てが原子炉に再装填されたが、その1年後となる今、スイス規制当局HSKとの議論の後に、NOKは新しい検査のために12基を再び取り外すことを決定。NOKは、この検査が終了し、結果が明らかとなるまでは新しいMOXの注文をしないことに。[NOKプレス発表]
8月8日
8月2日にセラフィールドからDriggへ低レベル放射性廃棄物を輸送していた鉄道コンテナ車が脱線事故を起こしたため、BNFLは健康安全検査機関(鉄道)(Health and Safety Inspectorate (Railways))から鉄道コンテナ車の使用を禁止する施行命令を受けた。[セラフィールドの環境保護団体COREのブリーフィング]
8月8日
BNFLが、セラフィールドにおける密封放射性源の管理に関する改善通知に従わなかったため、NIIに告訴されることに。この通知は、1999年3月にBNFLに出されていたもので、審理は2000年8月24日、ホワイトヘイブン行政裁判所で行われる予定。[COREブリーフィング]
8月18日
本日、BNFLがNIIに対し、セラフィールドにある危険な高レベル放射線廃液(HAL)の在庫処理計画を提出。NIIは、去年2月に発表したその報告書の中で、BNFLがHAL未処理分を合意目標年の2015年までに処理できるとは「確信していない」と述べていた。NIIは、同社に対し、上記の最終期限内の達成が確信できるような計画を8月18日までに作成するよう求めていた。もしNIIがBNFLの提案に納得できない場合は、その実力を行使して「…THORP(再処理工場)での再処理を削減、または一時停止させる」と、すでに述べている。地方自治体のコンソーシアムは、タンクを空にしている最中は、THORPを閉鎖することを要求した[NFLAプレス発表]
8月21日
チャンネル4(英国のTV局)とガーディアン紙に漏れたメモにより、セラフィールドに関する苦情への英国政府の対応をBNFLが決定していることが発覚。アイルランドのエネルギー相、Joe Jacobsは、英国の貿易産業省のエネルギー相Helen Liddel宛てに、アイルランドの議員と英国大臣間の「文書の内容と処理方法の決定への、BNFLによる重要な関与」について書いている。[ガーディアン紙]
9月4日
BNFLグループの長期的核に関する責任の再調査により、BNFLにおける将来の原子力施設の解体と核廃棄物汚染除去の経費が70億ポンド(102億ドル)増える。[ファイナンシャル・タイムズ紙]
9月10日
英国は、世界最悪の核事故のひとつであるセラフィールド施設の解体を秘密に計画していたことに関して欧州委員会から告訴される。軽蔑するヨーロッパの安全規定に英国を委ねるこの訴訟行為は、ホワイトホールにおいて極秘に行われたため、環境大臣にさえ通知されていなかった。[インディペンデント・オン・サンデイ紙]
9月13日
環境局が今年7月と8月の2度行ったセラフィールド工場の監査に基づき、この週明け、BNFLは放射性ガス放出についての施行通知を受けた。放出モニタリングシステムと放出報告方法に関して大変な矛盾が発見されていた。[COREブリーフイング]
9月15日
昨日、BNFLが3億3700万ポンドの損失を発表。この、同社の歴史上最悪の赤字のニュースと共に、BNFLの核に関する債務が71億ポンドから342億ポンドへ跳ね上がり、部分的民営化の可能性がさらに低くなる、と言うニュースも伝えられた。[インディペンデント紙、ガーディアン紙]
9月23日
スコットランド南西部にあるチャペルクロス原子力発電所で、低レベル放射性廃棄物を雨水排出口に垂れ流し、Gullielands Burnに流出させた事件に関してBNFLが今週、5,000ポンドの罰金を受ける。[N-base briefing 247]
11月8日
セラフィールド施設の稼動区域内の庭に出入り用の門が発見されたため、セラフィールドで2人が解雇された。この門の発見と、B39キャスク維持施設のペイントショップ内で3つのパラフィンランプが発見された後の緊急解雇だった。[ホワイトヘイブン・ニュース紙]
11月9日
Wylfa 原子力発電所のBNFLオペレーター、Angleseyが、排出合意に反してアイリッシュ海に廃液を流したことを認め、15,000ポンドの罰金を受ける。同社は、さらにこの告訴に関してウェールズ環境局が使った経費の1,638ポンドの支払いも命じられた。5,000ガロンタンク2体の中身が空にされ、リリースポイントからに海へ流出した。これらのタンクのうち1体には、濃度約1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液が入っていた。リリースポイントに近い場所での次亜塩素酸ナトリウム濃度は、環境局が最大許容レベルとして認める濃度の2万倍以上に達した。この廃液には消毒と漂白効果があり、岩や海藻を白くしてしまった。[環境局プレス・リリース]
11月15日
放射性廃棄物管理諮問委員会(Rwmac)によれば、もしBNFLが商業的再処理事業を拡大することがあれば、英国は、放射能放出を削減するというOSPAR公約を遵守出来ないであろう。[ENDS Daily]
11月23日
セラフィールドで、請負会社のJCB上の機械ハンマーが、廃液排出用パイプラインを破砕しかける。調査が進行中。[ホワイトヘイブン・ニュース紙]
12月5日
アイルランド放射線防護研究所(RPII)による調査により、高レベル放射性廃棄物貯蔵に起因する大きな事故による被害が適切に評価されていなかったことが暴露された。同調査は、特別なタンク内の廃液の貯蔵に関連しているリスクは「アイルランドにとって深刻な脅威」であるとしている。この報告は、この廃棄物の内容物を、チェルノブイリからの放出と比較し、「公衆と環境に対する被害の高い可能性がある」と警告している。1件の事故が「工場からかなり遠くまで深刻な結果」をもたらすかもしれない。アイルランドのエネルギー大臣Joe Jacobは、セラフィールド(再処理工場)によって規定された目標年である2015年よりも相当早い次期に液体廃棄物を固化してほしいと語った。[アイリッシュ・院ディペンデント紙
12月20日
BNFLは、3年目も引き続き核廃棄物再処理に関する商業的目標を達成できないことを認めた。セラフィールドのTHORP再処理工場からの廃棄物処理のために使用する蒸発器が詰まってしまったため、10月に再処理がストップした。工場は4月まで閉鎖となる可能性もある。BNFL は約800トンという目標に反し、今会計年は、今日までに核廃棄物の約348トンしか再処理していない。BNFL は、今年早い時期から、THORP再処理工場操業の最初の10年間に7,000トンの使用済み核燃料の再処理契約-18億ポンド(26億ドル)相当の工場への投資を正当化するために使われた営業予定-を遂行することは到底できそうにないと述べていた。[ファイナンシャル・タイムズ紙]
12月24日
セラフィールドのガラス固化工場での火災で全労働者が退避した。研磨装置からの火花によって起こったと思われる火災は、中レベル廃棄物として次の処理にかけるために廃棄物の寸法を小さくする場所であるブレイクダウン・セル2で起こった。ウィンズケールのガラス固化プラント(WVP)は、1991年に操業を開始し、製造ラインは2本ある。再処理からのHAL(高レベル放射線廃液)は、隣接する建物内のタンクに貯蔵され、ガラス固化され WVP で容器に詰められる。元来、WVPの2製造ラインは、各自、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体を毎年300キャニスターづつ生産することが期待されていたが、工場の恒常的な低い実績のため目標のおよそ50%しか達成されないという結果になった。生産率向上のために、3本目のラインが作られ、間もなく、接続の前メンテナンスのために昨年末から閉鎖されていた既存の2ラインと接続されることが期待されている。BNFL は火災による被害、または、それに続く調査が、ラインの接続あるいは3ライン全ての始動を遅らせることはあり得ないだろうと述べた。 2億4千万ポンド をかけてフランスのデザインを基礎に建設された WVP の歴史は、事故や、労働者汚染、パイプ詰まり、運営規則違反と安全システムの欠陥などの事件だらけである。1992年、BNFL は安全手順ソフトウェアに無許可の修正を施したためNIIに告訴され、6,000ポンドの罰金を科せられた。1997年にはWVPの煙突からルテニウムが制御無しに放出され、工場から離れた農地をも汚染し、そして昨年3月には破壊工作員(未確認)が工場で6つのロボットアームのワイヤーを切ったという事件もあった。さらに、工場にとって常にある問題は、加熱されたHALとガラスマトリックスを混合するためのステンレスとセラミック製の溶炉が、予測されたよりもかなり短い操業寿命しか持たないことだ。この溶炉は、高熱液体の熱衝撃に耐える能力を欠いているため、製造ラインは溶炉取替えのために度々閉鎖され、さらにブレイクダウン・セル内には機能しない溶炉が蓄積してしまっている。これらの溶炉をセル内にある研削機を使ってサイズを小さくすることは、予測されたよりもかなり難しいことがわかった。[COREブリーフィング2001年1月4日]

2001年

1月9日
BNFL が運営するエセックスの Bradwell magnox 原子炉の警備に雇用されたガードマンがサイトのコンピュータをサボタージュしようと試みた。パトロールが、ハイレベルの警備警告を作動させて施設の自動アクセス制御システムを一時停止、扉に電子施錠をして施設を閉鎖、同時に同僚らが侵入者の捜索を始めた。問題のガードマンは雇用採用時に一度も取り調べを受けておらず、また過去に2つの未公開の有罪決定を受けていたことも分かった。「部外秘」と記された貿易産業省の内部メモによれば、この結果、既存の従業員を含む全警備スタッフが、3月以降セキュリティー検査を受けなければいけないことになった。同文書は、「施設保安部隊の1員の故意の行動」であった警備違反について言及している。ガードマンは、Bradwell のコンピュータシステムに不法にアクセスし、機密扱いの情報を改変したと思われる。ある組合員は、「精神異常者、産業スパイやテロリストは、殆ど誰にでも入手可能なバッジを使えば門を通過できたるだろう。」と述べている。 [ガーディアン紙]
1月11日
BNFLの、日本から重要な核燃料供給契約を得るための努力の結果は、新しい混合酸化物燃料(MOX)工場SMPの未来についての政府論争の結果に左右される。マイケル・ミーチャー環境大臣は、1996年に4億6000万ポンド(6億8500万ドル)かけて完成したが、環境運輸省(DETR)の賛成無しには操業開始できない新MOX工場SMPを認可させようという貿易産業省からの圧力に抵抗している。ミーチャー氏は、同工場が自活できることが証明されるまで、認可を与える事を渋っていると言われる。自活を保証するために重要な要因は、同工場が日本から新しい再処理契約を得られるか否かであるが、大臣らは、日本の当局は、工場が認可されるまでは、その様な契約を結ぶことを嫌がっていると言う。日本は、MOX燃料契約の潜在的市場の50%を占めるため、BNFLにとって極めて重要である。エネルギー大臣のHelen Liddellは、セラフィールドの事業を予想することができたことを示し、日本から意志の陳述を確保したが、 ミーチャー氏はこれを不適当であると考えていると理解されており、これよりも強固な契約を見ることを望んでいるようだ。BNFL は先週、セラフィールドMOX工場の経済弁護のため、 DETR に新たな書類を提出し、その操業開始をねらった。ある役員は、「我々はまだ、同工場が経済的にも、環境的にも正当化できるものだと信じている。我々は、大臣らが、我々がした仕事を再検討し、そしてできるだけ早く何らかの決定を行うことを望む。我々には、MOX燃料を納品するための顧客との契約と締め切りがあるのだ。」と発言した。[ファイナンシャル・タイムズ紙]
1月22日
20年以上前にその停止を命じられたにも関わらず、BNFLは放射性クリプトン85ガスの放出を続けている。BNFLは年間250,000テラベクレルもの放射性物質を放出しており、放射線防護庁によれば、これは年間に2件の致死的な皮膚癌、さらに100件のその他の癌を引き起こすに足る量である。BNFLは、1977年のTHORP工場に関する公聴会の場で、Justice Parker氏からクリプトンを回収するように指導を受けていた。その後1994年までに同社は、放射性ガスの回収のためには5000万ポンドもコストがかかってしまい、そのようなことは正当化できないと政府を説得した。しかし、BNFLはこれで完全に窮地から抜け出せたわけではなく、クリプトンを回収する実行可能な方法の模索と、その進歩について毎年記録するよう指導を受けた。BNFLは、さらに、日本の[青森に]建設中の[再処理]工場内にその競争相手がクリプトン85の回収装置を備え付けることを阻止することに成功した模様である。BNFLの広報シニア・アドバイザー、Rupert Wilcox-Bakerの1996年のメモには、「日本原燃株式会社にクリプトン85に関して何を売る、または与えるかは営利的な決定である。しかし、我々自身のポジションへのダメージを考えれば、我々がしなければいけないのは、日本原燃がクリプトン85の除去装置を設置しないよう説得することだ。」と書いてある。日本の工場はまだ完成していないが、完成すれば、このBNFLのアドバイスの結果、THORPと同様の量の大気への放出が起こるはずである。[ガーディアン紙]
1月25日
BNFLが、技術的・経済的理由により、WYLFAとOldbury発電所における新燃料(MAGROX)の使用計画を断念する。古いMagnox再処理工場ではなくTHORP再処理工場において再処理できるはずだったこの低濃縮燃料の使用は、上記の2発電所を、古い再処理工場の寿命より長く稼動させる方法として考案されていた。BNFLは現在、その使用によってこれらの発電所の寿命が、セラフィールドのMagnox使用済み燃料再処理施設の閉鎖が予定される2012年以降まで延長されるような、Magnox使用の代替となる技術オプションが存在するか調査中である。MagRoxの代替としては、新しい「Head End Plant」をTHORPに建設し、THORP再処理工場でMagnox燃料の再処理を行うという案がある。もしこれが実行不可能だと確認されれば、BNFLはWylfaを2009年頃にOldburyは2008年頃に閉鎖しなければならないだろうが、まだ明確なことを言うには尚早である。BNFLは加熱器頭部の接合部制止(superheater header weld restraints)への投資後、一刻も早いWylfaの事業再開のため専心するものである。[BNFLプレス・リリース1月25日]
1月31日
BNFLは、NIIが発行した法的命令により、セラフィールド再処理地に保管される高レベル廃液の量を現在の在庫量の8分の1まで削減しなければならなくなった。BNFLは現在、HALを最高1,575立方メートルまで貯蔵することを許可されているが、これを2015年までに緩衝レベルの200立方メートルまで削減しなければならない。NIIはこの廃液を、臨界の危険がずっと低いガラス固体にした形で貯蔵することを求めている。NIIは、もし必要であれば、その規制力を行使してTHORP再処理工場を閉鎖することも厭わないと述べた。[フィナンシャル・タイムズ紙]
2月6日
BNFLが、その競争相手であるフランスのコジェマ社からフランス電力公社(EdF社)との原子力事業契約を奪い取るため、EdF社との準備討論に入った。BNFLの役員によれば、EdF社は、使用済み燃料の再処理、原子炉メンテナンスと原子力燃料供給を含む原子力関連の全契約を競争落札にかけることを考慮していたという。
EdF社は、現在コジェマ社と2001年以降の再処理契約について交渉中であるが、BNFLは2005年以降の契約を勝ち取ることを期待している。フランスの再処理契約取得は、BNFLのTHORP工場の長期的将来の保証の助けとなる。[フィナンシャル・タイムズ紙]
2月9日
環境局は、BNFLとその子会社の1社による1993年放射性物質法(Radioactive Substances Act 1993)への違反を主張、2社を告訴することを発表。この法令は、放射性源の登録システムを提供するもので、環境を保護し、人間の健康へのリスクが無いことを保証するための放射性物質の規制には欠かせないものである。今回の告訴は、カンブリアにある様々な施設における、移動性の放射性源や装置の登録欠如、保持と使用について環境局が去年4月に始めた取り調べに基づくものである。環境局は、1997年1月から2000年12月のあいだに、BNFLがセラフィールド施設、Drigg 低レベル放射性廃棄物処理場、並びにカンブリアにある英国原子力公社のウィンズケール施設において、移動性放射性装置を登録無しに、または登録の義務免除無しに保持、または使用したと主張している。2番目の主張は、BNFLが1987年3月から2000年9月の間に、バロウにあるRamsden Dockで放射性物質を保持、または使用したというもの。同局はさらに、1995年4月から2000年6月の間に、英国原子力公社のウィンズケール施設において、BNFL Instruments Ltdが移動性放射性機材を違法に保持していたと主張。訴訟は2001年2月22日に予定されていたが、その後延期された。[環境局プレス・リリース]
2月11日
セラフィールド核廃棄物工場において、もう少しで2,000トン以上の高レベル核廃棄物が爆発するところであったが、この大惨事は紙一重で回避された。工場の廃棄物貯蔵施設における安全手続きは大変手緩いもので、先月、爆発性のガスの堆積を警告するアラームを、作業者たちが3時間近くも無視していた。ガスは、各タンクに100トンもの致死的な廃棄物を貯蔵する21個のタンク内部に堆積していた。専門家は、さらに10時間この状態が続いていれば、タンクは爆発していただろうと語る。
NIIは、早速大規模な調査を始め、4人の検査官を工場に送り、工場の所有者であるBNFLに安全手続きについての報告書を4週間以内に提出するよう要求した。BNFLは、スタッフがアラームを2時間半のあいだ無視していたことを認め、そのような状況は‘不適切’であったと述べた。同社は、しかし、状況が臨界に達し、爆発を引き起こすまでには、10時間より大分長くかかるだろうと述べた。さらに同社は、THORP再処理工場がこの事件の結果、閉鎖されていたことを確証した。[オブザーバー紙]
2月22日
NIIによれば、セラフィールドの安全改善のための仕事が、予測されたより6ヶ月ほど長くかかりそうである。NII規制当局が、BNFLが組織的な管理不履行の罪を犯していることを発見した、大変批判的な3本の報告書を発表してから1年後、局長のLaurence Williamsは、BNFLは報告書のうち2本に対して本気で取り組み、「励みになる」進展を見せているが、管理と操業監督の改善について与えられた28の勧告については、まだそのうちのたった3勧告しか「完了」していないと述べた。NIIは、もともとBNFLの証拠提出の最終締め切りである2002年秋までに勧告全てを実行することを目標にしていた。BNFLの活動に責任を持つ検査副局長のMike Weightmanは、全ての処置を承認するには、さらに6ヶ月かかるかもしれないと述べた。BNFLは、去年から過激な構造改革を行っているが、先月、重要な換気システムの故障を示すアラームを2時間半も無視して高レベル核廃液タンクの作業を続けるという事態を後退させる事件が起こった。同グループは、さらに環境局から、普段は機材の測定に使用される低レベル放射性源の誤使用に関する規制違反の疑いで告訴されている。[ファイナンシャル・タイムズ紙] MOX試験施設(MDF)に関しては、15勧告全てが「満足に取り組まれた」が、「BNFLは、MDFについて、製造工場ではなく、開発と補足的な施設としての新しい、より制限された役割で再開させることについてさえ、NIIの認可をまだ得ていない。」[NIIプレス発表]
3月2日
エジンバラ近郊にあるTorness原子力発電所へ空の使用済み核燃料廃棄物用の容器を持ち帰っていた列車が脱線した。この列車は、BNFLの子会社、Direct Rail Servicesが運営している。Torness発電所の緊急容器対応チームと特別に訓練を受けた警察官のチーム、並びに消防隊が事故の対処にあたった。[エジンバラ・イブニング・ニュース紙]
3月12日
NIIは、セラフィールドのB205 Magnox再処理工場において、先週、BNFLの労働者二人がプルトニウム被曝した事故について精査を行う。3月6日(火)に起こったこの事故は、B205のプルトニウム完成ラインのグローブボックスからプルトニウム廃棄物を除去するために使うプラスチック製の袋の中に入あやっている溶接が故障したために起こった。この結果、酸化プルトニウムの粉末を含む袋の内容物がグローブボックス周辺の床にこぼれてしまい、この労働者らは年間被曝許容線量の20%に相当する量のプルトニウム粉末を吸引してしまったことが心配された。彼らの身体検査の結果は、まだしばらくは分からないようだ。グローブボックスからのプルトニウム廃棄物と残留物の除去は、グローブボックス内の‘袋の中の袋’方法で行われ、最終的な袋の溶接は、その梱包物がグローブボックスから取り出される前に行われる。労働者が3時間近くもアラームを無視していたという、1月に起こった高レベル廃棄物タンクにおける事件のため、B205での再処理作業も2月初旬に停止されていた。そのため燃料の切断と溶解は現在行われていないものの、工場の科学的分離区域でのプルトニウムとウランの完了ラインは続けられている。[COREブリーフィング]
3月12日
予期しなかったことにパイプが詰まり、照射済み燃料貯蔵プールや他の関連施設からの放射能に汚染された水を処理するSIXEP(Site Ion Exchange Effluent Plant)洗浄工場が停止された。パイプが詰まったために工場内の流量が大量に減ったことがNIIに報告され、NIIはこの問題についてBNFLと緊急に話し合いをもっていることを認めた。先週の同工場の閉鎖により、即時に英国中のBNFLのMagnox発電所からのこれ以上の使用済みMagnox燃料の貯蔵プールへの輸送が停止されている。BNFLは、この問題が解決されるまで‘数ヶ月ではなく数週間’かかるだろうが、このパイプの詰まりによる海への放射能排出増加はなかったと述べた。この1985年に開設された1億2000万ポンド相当の工場は、コンクリートによって遮蔽されるパイプの橋を伝ってSIXEPのプールに送り込まれる放射性排水のうち、1日に約4,000トンの放射性排水を処理し、主にセシウムとストロンチウムを除去している。[COREブリーフィング]
6月24日
COREが発表した報告書は、BNFLが海外顧客とのTHORPでの再処理契約の完了日として新しく指定した期日を守ることが出来ないことが判明され、よって顧客は騙されていることを暴露した。もともと10年後の2004年3月に完了されることだったが、今になって顧客らはBNFLから、新たに11年目の作業費用ももつように言われていた。高レベル廃液をガラス固化するガラス固化工場とTHORP工場自体での低い実績の組み合わせのために、2005年の完了でさえ、無理ではないとしても大変可能性が低いものになっている。[COREブリーフィング13/01]
7月5日
セラフィールドの内部告発者が、THORP再処理施設において、高レベル放射性燃料集合体関連した事件をBNFL社が隠蔽しようとした、と告発した。告発によると、THORPの燃料処理施設の機械から燃料集合体が垂れさがったままに放置されていたという。「燃料容器と機械が衝突した結果、容器が軌道から持ち上げられてしまったと同時に、燃料集合体は容器に当たり、機械の重量を支えていた為、折れ曲がってしまった。」告発者は「新しい」管理体制を導入したにもかかわらず、BNFL社の経営陣は新規契約獲得の名の下、あらゆる事故を隠蔽することに力を注いでおり、運営の杜撰さは今だ改善されていないと言った。BNFL社は事故があった事実は認めたものの、報道された内容に対しては、それほど言うまでのことではない、また放射能汚染の影響があるものではないと否定した。[ホワイトヘイブン・ニュース紙]
7月9日
BNFL社は、7月5日、木曜日にチャペルクロスの第3原子炉の燃料交換中、24本の燃料棒が落下するという事故があったというスコティシュ・サンデー紙の報道を認めた。BNFL社は初め、燃料棒に破損はなく、放射能漏れもなかったと発表した。この事故のわずか2ヶ月前、燃料交換中に手動リリース装置が故障するという事故があったばかりだった。[COREブリーフィング14/01]BNFL社は当初、2フィートの高さから落下して燃料交換装置の真下のシャフト扉を封鎖してしまっていた容器の中には、まだ24本の燃料棒は全部入っていたと伝えた。しかしその後、同社は、12本の燃料棒は行方不明であり、80フィート(24メートル程)下のシャフトの底に落下したおそれがあることを認めた。BNFL社はこの12本の燃料棒の存在を確認するために、遠隔操作可能なカメラを設置し、破損状況を確認しなければならなかった。燃料棒に破損があれば、酸素との接触によって大火災を起こし、大量の放射能の放出を危険性を孕んでいた。このためBNFL社は残りの3基の原子炉を順次停止することによって、ありったけの人員を第3原子炉の危機処理に対応できるようにした。この事故の情報はBNFLの圧力によって抑えられ、事故から4日後になってスコットランドの報道機関によって事故の事実が報道された。BNFLの会長と最高責任者は、危機処理の詳細な経緯の説明を求められ、急遽英国エネルギー省に召還された。[COREブリーフィング15/01]
8月22日
環境と健康及び安全に関する年次報告書2000-2001のなかでBNFL社は同社にしては珍しく、「環境規定と運営規定に違反する事態が何度かあった事実を報告しなければならないことは残念である」と誠意を見せた。この「残念」なことのリストには、罰金174,000ポンドと英国政府がBNFL社を相手取った6件の訴訟による費用52,000ポンドも含まれている。[COREブリーフィング17/01]
10月30日
セラフィールド核再処理施設に対して、空からの攻撃があるという電話による通知があったため、5時間に渡って非常警戒体制が敷かれ、戦闘機がセラフィールドに向けて緊急出動するという事態が起きた。カンブリア警察は非常警戒態勢が午後6時30分から11時30分まで続いたと説明した。[バーロウ・イーヴニング・ニュース紙、スター紙]
12月13日
足場作業員の放射能被爆に関連してBNFL社は4件の罪に問われることになり、再び裁判所への出頭を命じられた。この作業員はTHORP再処理施設のクレーン整備作業域内で作業中、高レベル放射性物質を扱うロボットアームによってわずか30分の間に1年分の量に相当する放射能を浴びてしまった。事故が起こったのは1年前だが、この作業員はストレス症候群のために未だに職場復帰していない。この事件は1月24日にホワイトヘイヴン治安判事裁判所によって審議される。[ホワイトヘイヴン・ニュース紙]BNFL社15,000ポンドの罰金に加えて、4,166ポンドの訴訟費用の支払いを命じられた。[COREブリーフィング03/02][ホワイトヘイヴン・ニュース紙、2002年3月7日]
12月13日
セラフィールドにおいて、発生源不特定の放射性元素テクニチウム99が漏れ出していることがわかった。発生源特定のため、BNFL、環境局、NIIを巻き込んだ捜査が現在進行中。英・環境局は、事態がさらに悪化した場合、あるいは、発生源が特定できなければ、BNFL社に対して強制措置を取ることを発表した。[ホワイトヘイヴン・ニュース紙]
12月13日
BNFL社は膨大な核廃棄物の処理に重要な役割を担う核施設の一時閉鎖に追い込まれた。Drypacの建設には4億ポンドもの資金が拠出されているが、すでに蓄積している核廃棄物の処理方法の見直しに伴ってBNFL社は新しい核施設の計画を無期限に凍結する見込み。[ホワイトヘイヴン・ニュース紙]

2002年

2月14日
NIIは、2月8日にセラフィールドの4基のコールダー・ホール・マグノックス型原子炉の1基に起こった事故を調査している。運転が停止されている原子炉の燃料交換作業中、24本の使用済み核燃料棒を入れた排出物バスケットを原子炉の上部から数メートル下の排出シャフトの中に落下させてしまった。この事故は昨年7月のスコットランドのチャペルクロス発電所で起きた事故に酷似している。[ガーディアン紙]
3月7日
BNFL社、放射能管理過失に有罪。セラフィールドの請負作業員がロボットアームの操作に伴って、わずか30分間に1年分の放射能に被爆した。ソープ核再処理施設でこの事故が起きたのは1年以上前のことだが、この作業員はストレス疾患のためにまだ仕事に復帰していない。BNFL社は3件の罪に関して有罪を認め、罰金15,000ポンドと訴訟費用4,166ポンドの支払いを命じられた。[ホワイトヘイブン・ニュース紙3月7日]
4月18日
カンブリア地方のセラフィールドの地下水が、何千トンもの未処理の放射性廃棄物を入れた築50年の貯蔵タンクからの漏出のために放射能汚染されていることがわかった。水の供給源の放射能汚染を防ぐため、漏出の規模と対策を検討するための緊急調査が行われている。老朽化した貯蔵タンクの状態についての懸念は以前から高まっており、すでにそれらのタンクを空にすべく、新しい建物の建設に1億ポンドが拠出されているが、その建設作業はまだ完了していない。テクニチウム99が現場のボーリング穴から発見されている。[ガーディアン紙]

以上

2002年6月1日

連絡先

作成:
グリーンピース・インターナショナル
グリーンピース・ジャパン
グリーンピース・UK
グリーン・アクション

CORE
(環境への放射性汚染に反対するカンブリア人の会)

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
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