市民が解明!──高浜MOX燃料返還は2004年12月末までは実行できない
なぜなら……
国土交通省が自ら認めているように、「Pu241は当該時期の重量を解析に使用」 (国交省4月25日文書回答)
*解析に用いたPu241の重量は2004年12月末の重量
関西電力MOX燃料返送用輸送容器に関する国土交通省の容器承認について
関西電力は、MOX燃料返送用輸送容器について、今年3月18日に国土交通省より容器承認を受けたが、4月16日にこの容器承認を国土交通省に「返納」し、改めて同日に「設計変更承認申請」を国土交通省に提出した(関西電力の記者説明参照)。
この問題について当2団体は4月17日付けで国土交通省に質問書を提出し、4月25日付けの回答を受け取った(別紙)。
ここで問題の焦点は以下の2点にあり、2つの内容は密接に関連している。
1.誰の指示で、なぜ変更申請を出したのか?−質問1〜4
◇質問1に対する回答(回答1と略記)によれば、関電が設計変更申請を出したのは、「収納する放射性物質の仕様」の表記に一部変更があったためである。他方、回答2によれば、その仕様の表記を変更する必要がある旨(国土交通省が)説明したことを受けた結果である。結局、国土交通省が表記の変更を指示したためと解釈できる。しかも回答3によれば、この表記変更の必要性の基である「核種ごとに放射能強度を制限する必要がある」との見解は、新しく付加されたことではなく、前から分かっていたことだという。
◇それならば、なぜ3月18日付け許可の前にそのような指摘をしなかったのか。関電は、単なる資料の差し替えではなく、3月18日付けの許可を「返納」し、わざわざ変更申請を提出している。それほどの重要なミスを、国土交通省は見逃していたことになる。
◇回答4によれば、国土交通省は放射能強度総量だけによるのではなく、核種毎の放射能強度を考慮して評価を行ったとしている。ところが、関電の記者説明によれば、放射能強度は総量で制限し、核種毎の重量は各同位体の重量で制限するとして設計承認申請書を作成したとはっきり書かれている。そうすると、国土交通省は、承認申請書に書かれていない内容まで勝手に解釈して審査承認していたと称しているにすぎない。
2.なぜPu241については低い放射能強度での評価を認めたのか−質問5
◇ガンマ線に関するしゃへいの評価について、Am241は時間とともに増えるため「想定期間終期」(1999年12月から5年後)の放射能強度を用いて評価することには意味があり、保守的な評価になる。他方、Pu241は時間とともに半減期14.35年で減少するため、「想定期間終期」の強度で評価するべきではなく、想定期間初期である1999年12月当時の放射能強度で評価すべきである。事実、他の記述ではそのようになっており、今回の変更申請を出すにあたっての関電の説明は全体にそのような趣旨を強調している。ところが、なぜか関電の安全解析ではPu241の放射能強度として「想定期間終期」の値を用いている。質問5ではこれを問題にした。
◇これに対する回答5では、しゃへい解析ではPu241よりもAm241による寄与が大きいため「Am241が最大となる想定期間終期で評価を行っている」こと、Pu241については「減少するため当該時期における重量を解析に使用している」としている。では、ここでいう「当該時期」とはどの時期なのか? 解析に用いているPu241の重量からすれば明らかに「想定期間終期」になっているが、当該時期とは終期のことなのか。
◇トータルな放射能強度は時間がたつほど減少する。問題の(ロ)-表D.1は、「しゃへい解析に用いる主要6核種の組成」を示したものである。この中でPu241の重量は現時点よりも少ない値になっている。安全解析の趣旨からすれば、この解析が意味をもつのはあくまでも「想定期間終期」でのことである。
◇現に、関電はAm241は時間とともに増えるのに、1999年12月の時点での放射能強度しか書かれていなかったために、その数値を「終期」の強度に書き換える「表記替え」をわざわざ行ったのである。他方、このPu241の問題は、単なる表記の問題ではすまされない。明らかに現時点よりも低い値を実際の解析に用いたのである。
◇結論としては、「想定期間終期」、すなわち2004年12月末まではMOX燃料の輸送はできない。
以上
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