報告:6月19日京都府への放射性物質拡散シミュレーションに関する申し入れ

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京都府が今年度実施予定のシミュレーション
「大量の放射性物質が放出した場合を想定」としながら「大量」の内容については答えず、市民は福島原発事故並みの想定で実施するよう求めた

6月19日に、京都府への放射性物質拡散シミュレーションに関する申し入れを行った。京都府の本年度予算(2018年)に大飯と高浜原発の事故(同時発災を含む)の放射性物質拡散予測調査(シミュレーション)を行う予算として700万円が組まれており、少なくとも福島並み原発事故を想定し、出来るだけ多くの府民を守る防災に必要とされる情報を透明なプロセスで入手することが重要であるため、今回要望書を提出した。京都府原子力防災課の桑谷正之課長(昨年度まで京都市の危機管理室室長)と同じく防災課の森本氏の2名に、市民は6名で会い、30分あまり計画とそれを進めて行くプロセスについて尋ねた。回答は、残念ながら殆ど「何も決まってない」のくり返しであった。

前回の高浜原発事故シミュレーションは、セシウム137の放出量は2,700テラベクレルとなっていて、実際の福島事故の放出量16,000テラベクレルの約17パーセントに過ぎず、被害想定を極端に小さく見積もっているが、課長は「その時の最新のデータでやった。「過小評価」といっている皆さんの言葉はおかしい、前回は間違っていたかのように聞こえる」と述べた。また今回のシミュレーションを行う目的についても、具体的な回答はしなかった。

京都府の資料(「資料15*」)では、シミュレーションについて「大量の放射性物質が放出した場合を想定」と書かれている。この「大量」について、福島原発事故並みを想定しているのかと問うたが、「それも今後検討する」「京都府として決める」という回答だけだった。放出量を過小評価したシミュレーションを出してくる可能性があるため、私たちは、福島原発事故並みで実施するよう強く求めた。

提出時に分かったこと:

  • 拡散予測範囲は100km四方(つまり京都府全域をカバー)
  • SPEEDIを使用するかどうか、決まっていない
  • 何パターンのシミュレーションを行えるか(16パターン等)は、実際の費用によって変わる
  • 周辺他府県へのシミュレーション結果の提供は、要請があれば必要に応じて相談する
  • 放射能放出量は、「京都府として決める」
  • 夏までに進めたい

シミュレーションを行う目的については、「放射線の拡散を見たい。優先順位はまだ決まっていない」。何を具体的に求めているのかに対し、「今後詰める」。「シミュレーションにもとづいて、必要な場合、防災対策と避難計画を見直す」と主張。

未定の中には、事故シナリオ(使用済燃料プールの破損を入れるかどうかを尋ねたが無回答)、気象条件設定を含むデーターセット、期間(地表に降下した放射性物質による被ばくを含むのかを尋ねたが無回答)、委託する業者、既に独自にシミュレーションを実施している滋賀県や岐阜県等と相談するのかも含まれている。

シミュレーションを行う計画は誰がどのようなプロセスで決めていくのかと尋ねると、「まだ決まっていない」と回答。どの時点で専門家に聞くのかには、「今後検討する。やっていく中で相談していく」。計画の概要はいつ決めるのかには、「いつとは言えない。早いうち。9月までにはやりたいと思う」。そうすると概要を決定するための検討は今始まっているのかと問うと、「分かりません」「色々なところで専門会議とか防災会議の幹事会とか防災会議で説明しています」。シミュレーションを行うプロセスについて公開して貰えるのかに対し、「その時の状況にならないと分からないので、お約束できません」。

私たちは、福島並みの事故を想定すること、他の県のように、風向きが京都府に向かってくる(被害が多くなる)気象条件のシミュレーションをするよう等強く要請した。また、設定を決めるプロセスを明らにするべき(全部決めてから公開でなく)、岐阜県のように結果を詳細に公開することを要請した。

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補足:その後7月22日に再度京都府の原子力防災課に電話で尋ねたところ、まだ何も決まっておらず、「検討している」というだけでした。また専門家は決まったのかという問いに対し、「防災専門委員の方達はいる。その方達をベースにそれ以外に適任がいれば検討していく」でした。

2018年7月30日 避難計画を案ずる関西連絡会 参加者一同

*資料15:放射性物質拡散予測調査について 地域防災の見直し部会(平成30年5月10日)
http://www.pref.kyoto.jp/shingikai/shobo-01/documents/300510siryo15.pdf

放射性物質拡散予測調査(シミュレーション)に関する質問・要望書
http://greenaction-japan.org/jp/wp-content/uploads/2018/06/180619_kyoto_youbou.pdf

ダウンロード:報告:6月19日京都府への放射性物質拡散シミュレーションに関する申し入れ(PDF)
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