8月7日:原発の火山灰濃度規制についての政府交渉報告
本日行われた火山灰規制に関する政府交渉について簡単にご報告させていただきます。
規制庁側は、技術基盤部から2名、審査課から1名、広報から1名の4名が参加し、主に技術基盤部の岩澤氏(課長補佐)が対応しました。市民側は、鹿児島、佐賀、関西含めて約40名でした。
規制庁の回答は、従来の火山灰濃度の100倍規模となる「参考濃度」を「基準」にするが、設計基準ではなく、設計と運用を組み合わせた新たなタイプの基準である、規則をどう変えるのかは、これから電力会社とも相談しながら決める、というものでした。市民側は、電力会社が新基準をクリアできないと言っている以上、直ちに原発を停止すべきだ、電力会社にお伺いを立てるのはやめるべきだと要求しましたが、まだ正式に決まっていないと繰り返すばかりでした。
電力会社は、許可済みの原発について新基準(参考濃度)での試算を行っていますが、川内、伊方、玄海原発は、交換の限界となる濃度の3~4倍になり、大飯や美浜も限界濃度を超えています。現状で新基準(参考濃度)を満たしていないことの認識について何度も問い質しましたが、まだ検討していないを繰り返し、電力会社がそのような認識であることを認めるのが精いっぱいでした。
議論になったのが、規制委が、単一故障の仮定により電源2系統の機能維持を要求したことから、全ての原発が基準違反状態となった問題でした。
現状で許可済みの原発は非常用ディーゼル発電機が2系統しかなく、電力会社は、1台を動かしている間にもう1台を止めてフィルターを交換し、それを交互に繰り返すことにしていました。
しかしこの状態で1台が故障してしまうと2台とも止まってしまいます。基準は、単一故障の仮定により、1台が故障しても安全機能を維持することを要求しており、これに反するのです。
電力各社は、フィルターの性能を向上させるとともに、発電機を動かしながらフィルター交換ができるようにして、2系統の機能維持をクリアするとしていますが、しかしいずれも今後の課題ということになっています。
2系統機能維持の要求は、新知見や新基準には直接には関係なく、現状の基準にも反することになります。これこそ即座の対応が必要で、言い逃れはできないものです。
この問題を追及すると、驚いたことに規制庁は、電力会社が止めて片方ずつ交換するとしていることについて、知らないと言うのです。文書や議事録の記載を示しても、知らぬ存ぜぬと言うばかりでした。そんのはずはありません。このような姿勢がいつまでも通用するはずはありません。
この問題で、九州電力が特別な許可をもらっていると市民に回答している件も聞きましたが、思い当たるものはないとのことでした。
これらについては、文書で再度質問を行うことになりました。
広報担当は、地元の住民の要請があった場合に説明に赴くつもりはあるかとの質問に答えましたが、ゼロ回答でした。
現状で基準違反は明らかで、原発は火山噴火に対して非常に脆弱な状況にあります。原発の停止と許可の取り消しをを各所で要求していこうということに。早速、9日は鹿児島県庁に、10日は佐賀県庁に申し入れを行うことにしました。
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)