1月27日:質問・要望書 高浜原発3・4号の再稼働に即時反対を表明してください

質問・要望書
高浜原発3・4号の再稼働に即時反対を表明してください

京都府知事 関西広域連合委員会委員 山田啓二 様

日頃から、京都府の安全のためにご尽力いただきありがとうございます。

昨年末の福井県知事と高浜町長の同意のみで、再稼働の準備が進められています。関西電力は3号機に核燃料の装荷を終え、1月29日にも原子炉を起動しようとしています。さらに、4号機が2月末に原子炉起動の予定です。一方、避難計画については、内閣府等が「具体的で実効性がある」としてまとめた「高浜地域の緊急時対応」について、国の防災会議がこれを了承しました。

しかし、これら再稼働推進に対して12月末に、避難元、避難先の自治体や首長・議員から反対表明が続いています。

  • 京都府内では、12月25日には、30km圏内に全市が入る京都府の宮津市議会で、再稼働に反対する意見書が可決されました。宮津市長も改めて12月に再稼働反対を表明されました。
  • 続いて同日、80km圏の京田辺市議会でも再稼働に反対する意見書が可決されました。
  • 12月24日には、宝塚市長と阪神間の県議・市議合わせて12名から再稼働反対の共同声明が出されました。
  • 12月22日には、加東市が避難先となっている福井県若狭町議会でも、安全対策と避難計画、説明会求める請願が全会一致で採択されました。

国や関電の事故・被ばくの想定は、福島原発事故を無視したもので、放射能放出率は福島原発事故時の千分の1以下で、5km地点の被ばく量は1mSv以下という全くの過小評価です。また、国が了承した避難計画は、京都府内を始めとする要援護者の避難手段や安定ヨウ素剤の配布方法も決まっていないままで実効性はありません。
このような状況で再稼働が強行され事故が起これば、住民の安全を守ることは到底できません。福島原発事故から5年を迎えようとしていますが、いまだ10万人もの人々が困難な避難生活を送っています。原発事故を二度と繰り返さないために、京都府としても再稼働に反対を表明していただくよう強く要望します。下記の質問と要望に答えていただきますよう、お願いいたします。

【質問事項】

1. 昨年12月に国の主導で決定された「高浜地域の緊急時対応」では、懸案となっていた福井から兵庫に避難する場合の汚染検査場所が2か所追加されました。しかし、この2か所には多くの問題があります。いずれも30km圏内です。住民が避難する前に福井県市町の職員がゲートモニタ等を設置することになりますが、果たして可能でしょうか。
綾部パーキング(PA)を経由して「あやべ球場」が候補地の一つですが、高速道路のPAにある緊急脱出口を使って「あやべ球場」に降りる想定のようです。他方、舞鶴市民は同じ高速道路を使って綾部PAを通過して兵庫県に避難することになり、相当の混乱が予想されます。
また、もう一つの候補地である「美山長谷運動広場」は、おおい町・小浜市・若狭町の住民が兵庫県に避難する場合に使用すると思われますが、駐車場は20台分ほどの小さな広場です。到底汚染検査が実施できるとは思えません。
さらに、30km圏内に設置されているため、ここから兵庫県内避難所に移動するバス運転手や誘導の兵庫県職員も毎時500μSv/hという高い線量下で業務にあたることになり、被ばくは避けられなくなります。
この汚染検査場所2か所(綾部市・南丹市)について、以下、7点質問致します。

  • 福井県におけるUPZの高浜町、おおい町、小浜市、若狭町には46,238人がおられます。2か所にどういうふうに振り分けられていますか?
  • 汚染された車の保管場所はそれぞれどうなっていますか?
  • 除染時に出る大量の汚染水の処理については、どういう計画でしょうか。
  • 福井県の担当職員の方は、それぞれに何人ずつ来られることとなっていますか?
  • 福井県の職員の方々が来られ、スクリーニング準備完了までどのくらいの時間を想定していますか?機器設置などの準備が完了するまで、避難の車は入れないのですか?
  • スクリーニングのため、舞鶴若狭道が渋滞することが予想されますが、そのため、舞鶴市民の避難はどうされますか?
  •  1月21日内閣府は汚染検査について、上記2か所で対応できない場合は、「京都府民用のスクリーニング場所も使ったらいい」と述べましたが、京都府は了承されていますか?京都府民の避難が遅れるのではないでしょうか。

2. 府内の自治体職員やバス運転手等の被ばく限度は現行の1mSvを守る必要があると表明すべきではないですか?

国の「オフサイトの防災業務関係者の安全確保に関する検討会」は、1月5日に報告書をまとめました。原発事故時の避難に伴う自治体職員、バス運転手、医療関係者等の被ばく限度について、報告書では具体的数値が書かれておらず、自治体に責任を丸投げしています。報告書では、「被ばく線量の管理の目安」は、民間事業者と実施要請機関が取り決めることとして、実施要請機関である自治体で個別に決めることとしています(報告書14頁)。
一方、関西広域連合は、2014年3月にまとめた「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」で下記のように、被ばく線量の管理の目安を1mSvと定めています。これを踏まえ、京都府内の職員やバス運転手等が防災業務に就く場合は、被ばく限度は1mSvが守られる必要があります。

  • バス事業者は、被ばく線量の管理の目安(一般公衆の被ばく線量限度である 1mSv(実効線量)を基本とする。)を超えないよう運転手等を管理する。
  • 運転手等が管理の目安を超えて被ばくすることがないよう、国又は避難元府県から、バス事業者に防護服や個人線量計等の装備を提供する。
  • 運転手等が管理の目安を超えて被ばくするおそれがあるなどバス事業者から必要な車両及び運転手等の提供を受けられない場合には、避難元府県は、国に代替手段の確保を求める。

    関西広域連合 「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」 17ページ
    http://www.kouiki-kansai.jp/data_upload01/1404096624.pdf

3. 昨年の12月11日、京都府に要請を行った時、要援護者の避難について伺いました。その後どうなっているかについて以下3点質問致します。

  • 要援護者が介護者と一緒に避難出来るかどうかはまだ分からないとのことでした。これでは要援護者を守ることになりません。その後、どのような準備が進められていますか?そのような仕組みがまだ確立されていない場合、何時までに解決するのかをお答えください。
  • 要援護者の受け入れ施設について、「関係団体の合意が頂ければ公表するつもり」と回答されました。宮津市の受け入れ施設は今月公開されましたが、舞鶴市などはまだです。受け入れ先の合意は何時までに得られるのですか?公開された宮津市については、避難元施設要援護者の受け入れ対応(介護人員・設備・医療サービス等)が整ったと理解して良いのですか?
  • 要援護者の移動手段について、「繰り返し車両を使うのか、ある一定の所で移動場所を決めてそこで交換するのか、何回も往復するのか、関係団体さんと意見交換をしている」と回答されました。移動手段は決まったのでしょうか?何時間以内で避難できる想定ですか?

4. 柏崎刈羽原発6号機で、電気ケーブルの不正敷設が発覚し、規制委・規制庁は1月6日にすべての電力会社に同様の不正がないか等を報告するように指示を出しました。ところが、稼働中の川内原発1・2号と、再稼働を目前に控えた高浜原発3・4号については、この報告を免除しています。1月21日の政府と市民の交渉で、規制庁は免除の理由として「使用前検査で確認」していると述べました。しかし、電力会社の説明を信じて、1~2か所だけサンプル調査をしているだけだということです。
さらに、昨年 11 月の京都北部の説明会で、「原子炉停止、冷却等に必要な安全機能の系統分離方針を確認」したと規制庁は説明しています。実態は確認せずに、関電の「方針」 だけを確認しただけで、あまりにも無責任です。
再稼働を優先させるのではなく、高浜3・4号の起動を中止し、他の原発と同様に詳細な報告等を提出させ、京都の住民に説明させる必要があるのではないですか。

【要望事項】

  1. 避難計画の実効性もないなかで、高浜原発3・4号の再稼働に反対を表明してください。
  2. 昨年12月に設定された2カ所の汚染検査場所(綾部・南丹市)で住民説明会を行ってください。
  3. 府内の要援護者の原子力防災計画を早急に完成させてください。
  4. 高浜原発3・4号機の電気ケーブルの説明会が行われるよう、国と関電に要求してください。

2016.1.27

避難計画を案ずる関西連絡会
連絡先団体:脱原発はりまアクション/原発防災を考える兵庫の会/グリーン・アクション/
原発なしで暮らしたい丹波の会/美浜の会/ 京都の原発防災を考える会
京都の原発防災を考える会
京都府民有志

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