プレスリリース:国際NGO、日本の高速増殖炉「もんじゅ」運転再開を批判

国際NGO、日本の高速増殖炉「もんじゅ」運転再開を批判
核拡散防止条約(NPT)再検討会議各国代表宛に書簡
高速増殖炉と再処理計画の放棄を日本政府に求めるなど要請

2010年5 月21日 ニューヨーク発:本日(ニューヨーク時間5月21日)、国際平和・環境、そして核廃絶・核不拡散問題に取り組むNGOは日本の高速増殖炉「もんじゅ」運転再開を批判し、国連で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の各国代表宛に書簡を提出しました。書簡を提出した団体は、ヨーロッパ・米国・韓国・日本の団体で、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)など国際的団体が含まれています。日本の核燃料サイクル計画に関し、このような国際平和・環境NGOによるNPT会議各国代表に対する包括的要請行動は初めてです。

書簡は、5月6日に運転が再開された日本の高速増殖原型炉「もんじゅ」が、核不拡散、安全、エネルギー供給に及ぼす問題を明記し、「これまでにない形で国際的関心が核軍縮、核不拡散、核セキュリティーに集まっているこの時点でプルトニウムを燃料とする高速増殖炉の運転が再開されるというのは、大きな皮肉だ」と述べ、日本の高速増殖炉と再処理計画の放棄を日本政府に求めるよう要請しています。

高速増殖炉「もんじゅ」と日本の核燃料サイクルが、核拡散と核セキュリティーに及ぼす問題は以下の通りです:

  • 「もんじゅ」のような高速炉の運転を支えるのに必要な、プルトニウム大量取り扱い施設(再処理工場やプルトニウム燃料製造プラント)に対して、転用防止のための効果的な保障措置を講じることは不可能。
  • 日本はすでに47トン以上の分離済みのプルトニウムを保有しており、六ヶ所再処理工場が運転を開始すれば毎年8トンのプルトニウムがこれに加わる。この蓄積した核兵器転用可能の大量のプルトニウムを、近い将来消費してしまうことはありそうにない。
  • 日本が示す例は、他の国に対して、プルトニウム利用に基づく原子力プログラムを追求することを奨励することになる。しかし、プルトニウムの広範な利用は、原子力の民生利用を通して、核拡散リスクを劇的に高めることになる。
  • 分離済み「民生用」プルトニウムを持つ国は、どこも、NPTの義務から抜け出すとの選択をすれば、短時間——数日から数週間——のうちに核兵器を製造することができる。
  • 安全面とエネルギー供給面について書簡は、「プルトニウムを使う高速増殖炉は、エネルギー供給という点でまったく当てにならない。研究開発に資金をつぎ込み続けることは、他の安全で、確実な、そして、経済的に実施可能な他の供給源の開発を阻止することになるだけだ」と結んでいます。

    書簡は、2010年NPT再検討会議参加の各国代表に対し以下を要請しました:

    1) 日本政府に対し、その高速増殖炉・再処理プログラムを放棄するよう呼びかけること。
    2) 民生用プログラムを含む「包括的核分裂性物質禁止」条約を支持すること。

    連絡先
    伴 英幸 原子力資料情報室(共同代表)
    Tel:03-3357-3800 メール: ban@cnic.jp
    アイリーン・美緒子・スミス グリーン・アクション(代表)
    Tel:075 701 7223 携帯:090-3620-9251 メール: amsmith@gol.com


    プレスリリース:
    国際NGO、日本の高速増殖炉「もんじゅ」運転再開を批判
    核拡散防止条約(NPT)再検討会議各国代表宛に書簡
    高速増殖炉と再処理計画の放棄を日本政府に求めるなど要請
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