関西電力への質問及び要望書と交渉での回答
高浜原発用のMOX燃料ペレットで不良品が製造されたことに関して
BNFL事件の教訓を踏まえて
どの検査項目で不良品となったのか等、
全ての情報を公開するよう求めます
質問及び要望書と交渉での回答(9月10日)
関西電力(株)社長 森 詳介 様
2009年8月26日
貴社の8月19日付プレス発表では、フランスのアレバ・メロックス社で製造中の高浜原発用のMOX燃料ペレットに不良品が出たため、4体分は採用しないと発表しています。しかし、この件については、具体的な情報が一切公表されていません。そのため、以下を質問・要望します。
[質問事項]
1.MOX燃料ペレットの不良品の内容について
(1)不合格となった検査項目等について
- 自主検査の項目とは、8月19日の記者会見で発表した別紙資料の内容に間違いないですか。この自主検査項目について貴社ホームページで公表しないのですか。
- 自主検査の項目は、質問書に記載頂いている項目で間違いありません。8月19日の当社の発表資料は、当社ホームページのプレスリリースコーナーの8月19日の分に掲載している資料です。なお、記者発表のさい、記者の皆様への説明のために、発表資料以外に補助的に資料を配付させていただくことはしばしばありますけれども、その際、必要な説明を口頭で補っております。口頭での補足説明を要するような補助的資料はホームページには記載しておりません。したがって、今回の補助資料についても掲載する予定はありません。
- 今回「目標値の範囲内に収まらなかった測定値」とは、自主検査の「性状に関わる検査項目」7項目の内、どの検査項目についてですか。
- 具体的な検査項目、どの検査で目標値の範囲に収まらない事象があったのかや、そのデータについては、メロックス社の製造に関する機密情報でありまして、当社は契約上の守秘義務を負っているため、回答はご容赦いただきたい。
- その項目では、何を測定するのか、及び測定の目標値の範囲と判定基準を示してください。
- 同上
- 「範囲内に収まらない測定値」とは、目標値をどれくらい超えていたのですか。また、それはどれくらいのMOXペレットで生じていたのですか。
- 通常、ロットという表現を我々はしておりまので、ロットというふうに修正させていただきますと、別のロットとして製造されたものでございます。
(2)確認の方法等について
- 「目標値の範囲内に収まらなかった測定値」を確認したのは、記録確認によってですか。
- メロックスから測定結果の連絡を受け確認したものでございます。
- その場合、その記録とは、ペレット全数についての記録ですか、それとも抜き取り的な記録ですか。
- 抜き取りで、検査結果について記録を確認したものでございます。
- 確認した時期は、燃料棒や燃料集合体に組み入れられる前ですか。
- 集合体に組み込まれる前でございます。
(3)検査データ等について
- 不良品の記録のデータを貴社は持っていますか。もっていない場合、それはなぜですか。
- 当該検査の結果は、メロックスより入手しています。
- 国の検査項目と自主検査項目について、全てのデータをアレバ・メロックス社から提供されていますか。
- 合格品については、全てメロックスから入手しています。
(4)判定基準について
- 同じものでありながら、アレバ・メロックス社は合格だと判断し、貴社は不合格だと判断するような事態がなぜ生じたのですか。契約上では、自主検査で目標値の範囲を超えた場合に、採用するかどうかの基準はどうなっていたのですか。
- 契約に関することなので、答はひかえさせていただきたい。
- 自主検査の「性状に関わる検査項目」7項目の内、例えば「核分裂性プルトニウム含有率」の検査項目に即して、検査方法や目標値の範囲、及び判定基準を示してください。
- 核分裂性プルトニウム含有率は、プルトニウム含有率やプルトニウム同位体組成の測定結果からも計算されます。が、目標値の範囲や判定基準については商業機密であり、お答えできません。
(5)品質の確保等について
- 貴社はプレス発表で、「製造体数を、現計画の16体から品質が確保されているペレットのみを用いた12体に変更し」としています。
採用しなかった4体分のペレットについては、「品質が確保されていない」と判断したと理解していいですか。 - メロックス社はこれまでの経験に基づき、当該ペレットはMOX燃料として採用が可能だとしていたが、当社と原燃工では、品質の確保を最優先に厳しく対応することとし、採用しないと判断したものでございます。
- 他方、アレバ・メロックス社は「これまでの経験に基づき、当該ペレットはMOX燃料として採用が可能」と主張したとプレス発表では書かれています。
「これまでの経験」とは、他社用のMOX燃料では、今回貴社が採用しなかったようなペレットを採用した経験があるということですか。その場合、日本向けのペレットでそのような経験があったということですか。 - これまでの経験とは、メロックス社がこれまで数多くペレットを製造するなかで、蓄積してきた知見やデータに基づくものである。また、メロックス社における他の顧客に関することは当社は承知していません。
- このことは、ペレットの品質確保に関して、貴社とアレバ・メロックス社との間に、認識の相違があるということを示しているのではないですか。
- 当該ペレットに関する、当社、原燃工、メロックスの評価及び、3者の協議の詳細に関する事項となるため、これも守秘義務がありご回答できません。
- 4体分のペレットは作り直すということですが、その分の追加費用は貴社が負担するのですか。
- 今後メロックス社と協議を行うが、契約上の取り扱いについては守秘義務があり回答はご容赦いただきたい。
- 「品質保証には万全を期す」と貴社は何度も繰り返してきました。しかし今回、品質が確保されないペレットが製造されたことの原因は何ですか。また、その責任の所在を明らかにしてください。
- メロックス社からは考えられる想定理由を聞いておりますが、内容につきましては不採用ペレットの詳細条項にあたりますので、回答はご容赦いただきたい。
2.BNFL事件の教訓に照らして
BNFLの場合は、検査項目・判定基準などは公表されていました。また、ペレット外径のデータについては、全てのデータが公開されました。
- BNFL事件の教訓を踏まえれば、不良品に関する情報をすべて公開すべきではありませんか。公表しないのはなぜですか。
- BNFLの場合はデータねつ造ということであることから、その内容を明確にお知らせするため、検査項目、判定基準、ペレット直径のデータを公表したものであります。今回は、適切な品質保証体制のもと、検査が行われ、目標値から外れるものがあり、その内容が適切に報告され、工場外に出荷されるようなことなく、当該ペレットを採用しないと判断したものであり、BNFLの場合とは事象が異なります。
- BNFLの場合、問題となったペレット外径についてはデータが公表され、「企業機密」ではありませんでした。今回の場合も、ペレットの安全性に関する問題であり、「企業機密」は適用できないのではないですか。
- BNFLはデータねつ造ということであるから、データを公開したものであります。今回は、適切な品質保証のもと、適切な検査により得られたデータであることから、企業機密にあたると考えております。
- 「どの検査項目で問題が生じたのか」さえ公表しない貴社の姿勢で、MOX燃料の安全性に責任を負えるのですか。
- 適切な品質保証体制のもと、品質安全第一にMOXの燃料調達を行っており、安全に責任を負えると思っております。
[質問事項]
- 貴社が不採用とした4体分のペレットに関して、どのような検査項目で「目標値の範囲内に収まらなかった」のかを含め、これに関する具体的データなどを全て公開してください。
- 契約上、メロックスの機密情報を公開する際には、同社の了解が必要だが、同社は競合他社に有益な情報となる製造能力・ノウハウに関連する情報、不採用となったペレットに関する詳細情報は、公開不可としています。このため、検査名・検査結果をはじめ具体的な内容については申し上げることができないことをご理解いただきたいと思っております。
2009年8月26日
グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581