関西電力のプルサーマル宣伝内容等に関する質問書
関西電力社長 藤 洋作 様
貴社は、プルサーマルの利点について、各種の宣伝パンフレットや新聞広告等で大々的に宣伝しています。高浜町における少人数の集いにおいても同様の内容で話しをしているとのことです。
そこで、その内容等について質問しますので、必要に応じてOHPやパワーポイントなども用いて、一問ずつ、誰にも分かるように具体的に丁寧に説明してください。また、その根拠についても示してください。なお、質問8は、コジェマ社と核兵器に関するものです。
以下では、主に2004年2月14日の福井新聞に出された広告の内容をとり上げて質問します。この内容は、貴社がこれまで何度も宣伝してきた内容なので、回答は1週間もあれば十分に準備されるものと期待しています。
1.プルサーマル利用によるウラン可採年数の延びについて
エネルギー資源の可採年数のグラフにおいて、「※プルトニウムの利用によりウランは数倍から数十倍利用年数が延びます」と説明されており、同時に「※高速増殖炉での利用を含む」と書かれています。
- 質問1
- この広告全体の主旨はプルサーマルの利点を宣伝することです。よって、日本でプルサーマル計画を実行すると、世界のウラン資源の可採年数(利用年数)はどれだけ延びるのですか。何基の原発でプルサーマルを実現した場合なのか等、前提条件と根拠を明確にして答えてください。
2.MOX燃料のリサイクルについて
「原子燃料サイクル図」は、「原子力発電所→再処理工場→MOX燃料工場→原子力発電所」と、MOX燃料が何度も繰り返し再利用されるものとして描かれています。
- 質問2
- どのようにしてMOX燃料が何度もリサイクルされるのですか。具体的に説明してください。
3.プルサーマルによるウラン資源の節約について
貴社の藤谷若狭支社長は「プルサーマルを行うことで、ウラン資源を約25%節約することができます」と述べています。
- 質問3
- プルサーマルを行うことによって、なぜどのようにしてウラン資源を約25%節約することができるのか説明してください。
4.プルサーマルにより使用済み燃料の90%以上が活用できるということについて
貴社の藤谷氏は、「使い終えた燃料には、資源として再利用できる物質が90%以上、燃えないで残っているのです。そのなかのプルトニウムとウランを混合したものをMOX燃料と言います。これを利用して発電することで有効に活用していくのです」と述べています。
- 質問4-1
- 使用済み燃料から取り出したいわゆる回収ウランに関する貴社の利用実績について、以下の点を示してください。回収ウランを燃料として利用し始めた年度以降の年度ごとの利用実績(全ウラン燃料装荷量とそのうちの回収ウラン燃料の装荷量)を示してください。また、これまでの再処理によって回収されたウランの総量と、そのうち燃料用に用いた回収ウランの量(濃縮する前)を示してください。濃縮過程で出る劣化ウランはどのように処理したのか説明してください。
- 質問4-2
- 貴社が海外で製造する予定のMOX燃料では、回収ウランを使う予定ですか。
- 質問4-3
- 貴社は、ウラン濃縮の過程で産み出される劣化ウラン(大部分がウラン238)を無償で米国のウラン濃縮会社に渡していますが、なぜそれを利用しないのですか。
- 質問4-4
- プルサーマルを行うことで使用済み燃料の中の90%、とりわけその大部分を占めるはずのウラン238をどのように活用できるのか具体的に説明してください。
5. プルサーマル利用による高レベル放射性廃棄物の低減について
久保寺昭子氏の「プルサーマルには放射性廃棄物を減らすという利点もあります」という発言に応じて、貴社の藤谷氏は「はい、結果的には高レベル放射性廃棄物の量を半分以下に減らすことができます」と述べています。
- 質問5-1
- 高レベル放射性廃棄物とは何ですか。また、なぜプルサーマルによって、その量を半分以下に減らすことができるのですか。説明してください。
- 質問5-2
- 「プルサーマルとは」という囲みにおいて、「(プルサーマルは、)放射性廃棄物の発生量の抑制にもつながります」と説明されています。高レベル以外の放射性廃棄物にはどのようなものがあり、どのようにして、どれだけ減らせるのですか。
6. プルサーマルの安全性は国内外の実績で確認されているということについて
政野澄子氏の「プルサーマルは、海外で広く行われていると聞いていますが、安全性について、海外での評価はどうなのでしょう」という質問に答えて、貴社の藤谷氏は、「プルサーマルは、フランスやドイツで30数年の豊富な実績があり現在でも安定的に行われています。わが国でも、美浜発電所などで実証試験が行われ安全性が確認されています」と答えています。
- 質問6-1
- 高浜3・4号機で予定されているプルサーマル、美浜発電所の実証試験、フランスをはじめとする海外の原子力発電所*でのMOX燃料を使った実績について、次の3つの指標を示してください(*注:海外については、少数体試験ではなく、軽水炉MOX炉心の実績を各炉ごとに示してください)。
- 全集合体数に対するMOX燃料集合体数の比
- プルトニウム富化度(全プルトニウムと核分裂性プルトニウムについて)
- MOX燃料集合体の平均燃焼度の最高値
- 質問6-2
- 美浜発電所でのMOX実証試験と高浜3・4号機で予定されているプルサーマルとでは、上のa.、b.、c.の指標が大きく異なっています。なぜ、その相違が安全性にとってまったく問題にならないのか、理由を説明してください。
- 質問6-3
- フランスで過去動いてきた、そして現在実際に動いているプルサーマル炉についても、上のa.、b.、c.の指標は、高浜原発3・4号機で予定されているプルサーマルとは違っています。なぜ、その相違が安全性にとってまったく問題にならないのか、理由を説明してください。
7. BNFL製MOX燃料で貴社が人々にかけた心配と迷惑について
貴社の藤谷氏は、「BNFL製MOX燃料問題の際には、みなさまに大変ご心配とご迷惑をおかけしました」と述べています。
- 質問7-1
- ここでいう「ご心配とご迷惑」の中には、データ不正が行われたMOX燃料をそのまま装荷することによって、人々の安心だけでなく、安全を脅かしかねない事態を招こうとしたことが含まれているのですか。
- 質問7-2
- もし含まれていない場合、燃料ペレットの抜き取り検査によって実施されている品質保証検査は、安全性には無関係なものだと考えているということですか。
- 質問7-3
- 1999年の11月8日、通産省はイギリス政府(NII)から書簡を受け取っていました。その内容は、「疑わしいデータペレットを含む二体の燃料集合体が日本にある」という通達でした。通産省はこの情報を隠しました。隠していたことが翌月の12月10日、参議院の経済・産業委員会の審議で明らかになりました。通産省がイギリス政府からこの書簡を受け取っていたころ、関西電力も同じような内容の情報をBNFL社から受け取っていましたが、公には「データ不正はない」と言い続けていました。福井県民をはじめ市民に、BNFL社から来ていたこの情報を隠し、燃料には「不正がない」と言い続けたことに対して詫びるつもりはあるのですか。
8. コジェマ社が核兵器産業の根幹をなす企業であることについて
コジェマ社は、フランスの核兵器製造のためにプルトニウムを生産・供給しており、核兵器産業の根幹をなしています。
- 質問8
- 貴社は、MOX燃料製造契約を結ぶコジェマ社が核兵器産業の根幹をなす企業であることを知っていますか。
2004年4月20日
- グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
- 京都市左京区田中関田町22-75-103
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